27-1A1010月27日(日)10:30-12:00
セッション
IVG:in vitro gametogenesisは、iPS細胞などの幹細胞を用いてシャーレ上で精子や卵子を作り出す技術です。この技術によって生殖細胞について新しい知見が得られる一方、IVGで作り出した生殖細胞で子どもを誕生させることの是非といった課題も浮上しています。大阪大学の加藤和人教授はこれらの倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を分析し、市民と共に検討する方法を探るプロジェクト「患者市民参画に基づくヒト幹細胞由来の生殖細胞研究のELSI対応とガバナンス(G-STEP)」を進めています。本日は研究に関する最新情報を紹介し、研究の発展によって起こりうる未来についてみなさんと話し合います。
IVG (in vitro gametogenesis) is a technique for producing sperm and eggs in a petri dish using stem cells such as iPS cells. While this technique has provided new insights into germ cells, it has also raised issues such as whether it is appropriate to use germ cells produced by IVG to give birth to children. Professor Kazuto Kato of Osaka University is the Principal Investigator of the project called “Addressing ELSI and governance with of patient and public involvement regarding research on human stem cell derived germ cells (G-STEP)," which analyzes these ethical, legal, and social issues (ELSI) and explores ways to discuss them with members of the public. Today, researchers will introduce the latest information on the research and discuss with visitors the possible future of research developments.
大阪大学大学院医学系研究科・医の倫理と公共政策学分野・教授
1989年京都大学理学研究科博士課程修了。博士号取得後、山中伸弥氏とノーベル賞を共同受賞したケンブリッジ大学ジョン・ガードン教授のもとで4年間研究。同時に、英国と欧州における科学・文化について様々な活動を体験し、帰国後、科学と社会の接点分野に転身。京都大学人文科学研究所・准教授を経て、2012年現職。WHOのゲノム医療の委員会委員など、国際的活動も多数。
大阪大学 微生物病研究所 遺伝子機能解析分野 教授
専門は生殖生物学。ゲノム編集などの最新の遺伝子改変マウスを用いて、精子形成や受精メカニズムなどを研究しています。セッションでは最新の試験管内精子形成技術や生殖補助技術を紹介すると共に、実際に臨床応用する際のメリット・デメリットを国際的な枠組みを作って研究する、AMED/ASPIRE「次世代生殖補助医療に資する国際共同研究」について紹介します。
大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学・助教
一般内科医として医療に携わりつつ、大学で医療・医学の倫理を中心とした研究をしています。主なテーマは、医学・ヘルスケア領域における情報通信技術、人工知能、ゲノム解析・編集技術などの先端技術のELSIとガバナンス、および患者・市民参画。臨床現場の倫理に関する研究や医療機関での活動にも携わっています。
大阪大学COデザインセンター・特任助教
博士(文学)。専門は哲学/概念工学。概念分析にもとづく哲学研究を基盤に、新規科学技術がもたらす倫理的・社会的・法的課題(ELSI)を見据えた責任ある研究開発とイノベーションの創出(RRI)に関する様々な研究や実践にアプローチしています。もっぱら、テクノロジーアセスメントのための方法論の開発や熟議の交通整理、人材育成プログラムの設計に取り組んでいます。
大阪大学大学院 医学系研究科 医の倫理と公共政策学・助教
消化器内科医として働くなかで、臨床現場で起こる倫理的な問題に関心をもち、医師10年目のときに医療倫理研究の世界に飛び込みました。主に、医療現場における患者・医師関係についての研究を行っています。最近は、これまでの研究の発展を目指して、専門家と市民・患者がどのように協働することができるのかを知るため、市民・患者参画研究を学んでいます。
大阪大学大学院 医学系研究科 医の倫理と公共政策学・特任研究員
生殖細胞研究や生殖補助医療のELSIについて調査しつつ、同時に文学研究にも取り組んでいます。また、いわゆる人文学系の研究が、どのように先端医科学研究と協働できるか、ということに関心を持っています。
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